久しぶりにフットサルをやったら、翌日から肘の外側が妙に重い。
子どもを抱き上げようとしたとき、ズキッと響いた。
「テニスなんてやっていないのに、なんでテニス肘?」——そう思ったパパ、実は多いんです。でも実は、テニス肘は「テニスをする人がなる病気」ではなく、デスクワーク×抱っこ×週末スポーツを掛け持ちするパパに最もなりやすい肘の痛みのひとつです。
この記事では、テニス肘のしくみ・自分でできるセルフチェック・自宅ケアの方法をまとめました。長野県・茅野や原村エリアで育児中のパパを多く診てきた経験をもとに書いています。「最近、肘が気になる」というパパはぜひ最後まで読んでみてください。
テニス肘とは何か——「炎症」ではなく「腱の変性」
テニス肘の正式名称は「外側上顆炎(がいそくじょうかえん)」といいます。
肘の外側にある骨の出っ張り(外側上顆)に、手首を「上に持ち上げる」動作をする筋肉の腱(けん)が付着しています。その付着部に繰り返し負荷がかかることで、腱がだんだんと傷んでいきます。
近年の研究では「炎症というよりも、腱の変性(劣化)が主体」とわかっています。冷やしてもシップを貼っても良くならない——それは、炎症を抑えるケアが腱の変性には直接対応できていないからです。
「冷やしているのに全然良くならなくて…」という声を、院で本当によく耳にします。変性が主体と知ると、なぜそうなるかが腑に落ちる方が多いです。
なぜ育児パパに起きやすいのか——三重苦のメカニズム
テニス肘は「使いすぎ」が原因ですが、テニスをしていなくても十分に起きます。
育児中のパパには、こんな三重の負荷が重なっています。
- デスクワーク:マウスやキーボードで手首を伸ばし続ける動作が、腱への継続的な刺激になる。海外の調査では、デスクワーク4時間以上の人の罹患率(りかんりつ)は75%という報告もある。
- 子どもの抱っこ:子どもを持ち上げる・抱きかかえる動作は、肘を伸ばした状態で手首に力を入れる。これがまさに外側上顆への集中負荷になる。
- 週末スポーツ:フットサル・野球・ゴルフなど。平日の疲れが残った状態で急に体を動かすと、腱への衝撃が倍増する。
3つが重なると、腱には「平日ずっと負荷→週末ドカンと追い打ち」のパターンが繰り返されます。
「なんか最近ずっと肘が重い感じがする」という感覚が続くなら、すでに腱の変性が始まっているサインかもしれません。
院に来られるパパさんの多くは「試合後から痛くなったのに、週末スポーツのせいだと思っていなかった」とおっしゃいます。仕事と育児の疲れが積み重なった週末こそ、腱には一番キツいタイミングです。
自分でできるセルフチェック——Thomsenテストのやり方

テニス肘かどうかを自分で確認できる、シンプルなテストがあります。
「Thomsenテスト(トムゼンテスト)」と呼ばれる方法です。整骨院・病院でも実際に使う検査です。
- やり方:肘を伸ばした状態で、手の甲を上に向けます。そのまま手首を「上に持ち上げる」方向に軽く力を入れます。
- 確認ポイント:肘の外側(骨の出っ張り周辺)に痛みやズキンとした感覚があれば、テニス肘の可能性があります。
- 補足確認:痛みがある部位を指1本でそっと押してみてください。「ここを押すと特に痛い」というピンポイントの場所があれば、そこが外側上顆の腱付着部です。
ただし、痛みが強い・しびれがある・どこを押しても広範囲に痛い——そんな場合は、自己判断せず整骨院鍼灸院を受診してください。
「試したら当てはまったけど、次にどうすればいい?」というご相談も気軽に受け付けています。
今日からできるセルフケア3ステップ
テニス肘の保存療法(手術をしない治療)の中で、科学的根拠(エビデンス)があるとされているのは「運動療法」です。
特に「遠心性収縮(えんしんせいしゅうしゅく)」——筋肉が伸びながら力を出す動き——が最も効果的とされています。難しく聞こえますが、要は「ゆっくり負荷をかけながら伸ばす動き」です。
① 前腕のストレッチ

まず、縮んだ筋肉を柔らかくします。
やり方:肘を伸ばして手のひらを下向きにします。反対の手で「指先を下に向ける方向」へゆっくり押します。
目安:じわっと伸びる感覚で20〜30秒キープ。3〜5セット。
痛みが出るほど強くやらないのがポイントです。ストレッチは「気持ちいい程度」で十分です。
② 遠心性収縮エクササイズ(リバース・リストカール)

テニス肘の回復に最も効果的とされる運動です。500mlペットボトル1本でできます。
やり方:テーブルに前腕を乗せ、手首をテーブルの端から出します。手の甲を上に向けてペットボトルを持ち、ゆっくり(3〜5秒かけて)手首を下に下げ、もとに戻します。
目安:10〜15回×3セット。週3〜4回。
下げるときにゆっくりやることが一番大事です。早く動かすと効果が半減します。痛みが強い場合は水の量を減らして負荷を調節してください。
③ 日常動作の工夫
ケアと同じくらい大切なのが、腱への負荷を減らすことです。
抱っこのとき:肘を曲げて子どもを体に密着させて持ち上げる(肘を伸ばしたまま持ち上げない)。
デスクワークのとき:肘をデスクに置いたまま長時間マウス操作をしない。ひじ掛けや肘パッドを活用する。
重いものを持つとき:手の甲を下向きにして持たず、手のひらを上または横向きにして持つ。
「ちょっとした持ち方の工夫」の積み重ねが、腱への日々の負荷を大きく減らします。
このやり方をお伝えすると、「それだけで変わるの?」と驚かれる方もいます。でも毎日の積み重ねがそのまま回復の速さに直結します。
早めに動くことが大切な理由——6ヶ月以内がカギ
テニス肘を「大したことない」と放置してしまうパパは少なくありません。
しかし、発症から6ヶ月以上適切なケアをしないでいると、関節内にまで変性が進むリスクがあることが報告されています。
早めに適切なケアをすれば、多くのケースで日常動作の痛みの改善につながります。子どもの抱っこも、週末のスポーツも、もとどおり楽しめるように整えていけます。
「痛みが続いているけどまあいいか」——その間にも、腱は少しずつ傷んでいきます。6ヶ月が一つの目安です。
茅野・原村エリアのたなか整骨院鍼灸院では、テニス肘の評価と運動療法・鍼灸によるアプローチを行っています。「自分でケアしてみたけど改善しない」「どれくらいの状態か診てほしい」という方は、お気軽にご相談ください。
まずはThomsenテストと遠心性収縮のエクサイズを1週間試してみてください。それだけで改善につながるケースも多くあります。体の声を無視せず、早めに動くことが一番です。

