先日、こんなことをノートに書きました。
「もし二人目が生まれてきてくれたら、自分もちゃんと支えられる存在でいなければ」と。
院長として毎日患者さんを診ている自分でも、そう思います。
子どもが増えることへの嬉しさと、「ちゃんとやれるだろうか」という不安。
それは、きっと誰のそばにもあるものです。
このコラムは、二人目を妊娠中のママへ届けたいと思います。
一人目のときより早く腰が限界になる。
上の子の抱っこをやめられない。
家事も止まらない。
そんな日々の中で、自分の体を後回しにしているあなたへ。
妊娠中だからこそ、今からできることがあります。
妊娠中に腰が痛くなる理由——体の中で何が起きているのか
妊娠すると、いくつかの変化が重なって腰への負担が増えていきます。
「妊娠中の腰痛はしょうがない」と思われがちですが、その仕組みを知っておくと対処の方針が変わります。
ホルモン(リラキシン)による関節のゆるみ
妊娠中に分泌される「リラキシン」というホルモンは、出産に備えて骨盤まわりの靭帯をゆるめる働きをします。
赤ちゃんが産道を通れるようにするための、体の自然な準備です。
ただ、靭帯がゆるむということは、関節の安定性も下がるということです。
骨盤がふらつきやすくなり、その分を腰まわりの筋肉が必死に補おうとします。
それが、慢性的な疲れへとつながっていきます。
重心の変化による「反り腰」
おなかが大きくなるにつれて、重心が前にずれます。
体はバランスを保とうとして、自然に腰を反らせます。
これが「反り腰」の状態です。
反り腰が続くと、腰の筋肉と椎間板への負担が少しずつ蓄積され続けます。
意識していなくても、体は毎日その姿勢を取り続けています。
骨盤底筋の弱化
おなかの中身を下から支えている「骨盤底筋」は、赤ちゃんの重みで少しずつ弱っていきます。
骨盤底筋が弱くなると、体幹全体の安定が失われます。
その不足を腰の筋肉が補おうとして、疲れがたまりやすくなります。
こうした変化が同時に重なることで、妊娠中の腰痛は起きています。
「体が弱いから」「運動不足だから」ではありません。
正しいケアで、楽にすることは十分できます。
二人目妊娠中が特につらい理由——「休む」という選択肢がない
一人目と二人目では、体への負担がまったく違います。
一人目の妊娠中は、自分の体に集中することができました。
しんどければ横になれた。
家事を少し手抜きしても、誰かが困るわけではなかった。
でも、二人目の妊娠中は違います。
上の子はまだ小さくて、抱っこやおんぶが必要です。
「おなかが大きいから」は通じません。
しゃがんで遊ぶ、抱き上げる、追いかける。
妊婦の体には過酷な動きが、日常の中に山ほどあります。
加えて、産後の疲れが完全に取れていないまま二人目を妊娠するケースも多いです。
体はまだ十分に回復していない状態で、また一から妊娠期間を乗り越えることになります。
「一人目より腰が痛くなるのが早かった」という声を、院でも本当によく聞きます。
それは気のせいでも、体が弱くなったわけでもありません。
単純に、体への負担が倍以上になっているからです。
だからこそ、意識的にケアしていく必要があります。
妊娠中からできる骨盤・腰のセルフケア3つ
激しい運動は不要です。
すべて「横になったままできる」「椅子に座ったままできる」動きだけを選びました。
体調と相談しながら、無理のない範囲で行ってください。
① 四つ這いキャット&カウ(腰のストレッチ)
固まった腰の筋肉をほぐし、動きを出します。

やり方:
- 四つ這いになり、手は肩の真下・膝は腰の真下に置く
- 息を吸いながら腰をゆっくり反らせ(おなかを床に近づけるイメージ)、目線を上げる
- 息を吐きながら背中をゆっくり丸め、おへそを覗き込む
- これをゆっくり5〜10回繰り返す
勢いをつけず、呼吸に合わせてゆっくり行うことが大切です。
おなかが大きくなって四つ這いが難しい場合は、椅子に座ったまま同じ動きを行ってください。
腰に痛みが出た場合は中止してください。
② 横向き寝での骨盤ストレッチ
おなかが大きくて仰向けがつらい時期でも行えます。
骨盤まわりの緊張をゆるめます。

やり方:
- 横向きに寝て、膝を軽く曲げた状態にする
- 上側の脚の膝を軽く持ち上げ(開く方向へ)、3〜5秒キープ
- 今度は膝を前に倒し(閉じる方向へ)、3〜5秒キープ
- 左右それぞれ5〜10回
大きな可動域は必要ありません。
骨盤まわりが「動いているな」と感じる程度で十分です。
就寝前のルーティンに取り入れると続けやすいです。
③ ブレーシング呼吸法(体幹をやさしく安定させる)
激しい腹筋運動は妊娠中NGですが、「呼吸で体幹を安定させる」ことは妊娠後期でも安全に行えます。
腰を内側から支える力を維持することが目的です。

やり方:
- 横向きに寝るか、椅子に座った状態にする
- 鼻からゆっくり息を吸い、おなかを前だけでなく横・後ろにも広げるように膨らませる
- 口からゆっくり息を吐きながら、おなかを「やさしく締める」感覚を意識する(力まず、ほんの少しだけ)
- これを5〜10回
「おなかを凹ませる」ほど力を入れる必要はありません。
呼吸が止まるほど締め付けないでください。
「内側から腰を支えている感覚」がつかめれば十分です。
マタニティ用骨盤ベルトも、腰への負担を分散させるのに効果的です。
ただし、巻き方が間違っていると逆効果になることがあります。
使い始める前に一度、整骨院で確認してもらうことをおすすめします。
産後に備えて、今から整えておく理由
「産後になったらちゃんとケアしよう」と思っているママへ、少しだけ伝えさせてください。
産後は「ケアに集中できる時間」ではありません。
赤ちゃんの授乳、夜泣き、上の子のお世話が重なり、自分の体のことは後回しになります。
体が限界のサインを出しても、気づく余裕すらない日が続きます。
産後に体を立て直すのは、妊娠中から整えておくよりずっと大変です。
妊娠中のケアは、今が楽になるためだけではありません。
- 骨盤のゆがみを妊娠中から整えることで、産後の骨盤の回復が早くなる
- 体幹の筋肉を維持することで、産後の抱っこ・授乳時の腰への負担が減る
- 腰痛を慢性化させないことで、育児を乗り越える体力を保てる
「少し先の自分を楽にしてあげるために、今日の15分を使う」という考え方です。
二人目が生まれて、上の子に「ママ、また抱っこして」と言われたとき、笑顔で答えられる体でいるために。
一人で抱え込まなくていい。たなか整骨院鍼灸院でできること
妊娠中でも、整骨院・鍼灸院でできることがあります。
たなか整骨院鍼灸院では、妊娠中の体のケアに対応しています。
骨盤まわりの調整、腰の緊張をほぐす施術、セルフケアの指導。
その時期・体の状態に合わせた無理のないアプローチをお伝えします。
「妊婦でも来ていいの?」と遠慮している方がいれば、答えはもちろん「はい」です。
むしろ、赤ちゃんが生まれる前から体を整えていただきたいと思っています。
「腰が限界に来てから」ではなく、「なんか最近つらいな」というタイミングで来てほしいと思っています。
早めのケアが、自分と赤ちゃん、そして家族を守ることにつながります。
富士見・原村・茅野エリアで妊娠中の体のお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。

