育児がひと段落した週末の朝。子どもがまだ寝ている間に、少しだけ走って帰ってくる——そんな「自分時間」としてランニングを楽しんでいるママが増えています。
でも、こんな悩みを抱えてはいませんか。
「走り始めて30分ほどすると、膝の外側がズキズキしてくる」「距離を伸ばしたら急に痛くなってきた」「休んだら楽になるけど、また走るとすぐ同じ場所が痛い」——。
この痛みはランナー膝(腸脛靭帯炎)という、ランニングをする女性に特に多い障害のサインかもしれません。
たなか整骨院鍼灸院には、ランニングを楽しみながら膝の外側の痛みで来院されるママさんが少なくありません。「なぜ痛くなるのか」を正しく知ってケアすれば、多くのケースでランニングを続けながら改善を目指せます。
この記事では、ランナー膝の原因・体の特徴・今日からできるセルフケアを、茅野・原村エリアのアクティブなランナーのママに向けてお伝えします。
走るたびに膝の外側が痛くなる…それ、ランナー膝かもしれません
「ランナー膝」とは、正式名称を腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)といいます。
膝の外側に縦に走る「腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)」という組織が、走行中に大腿骨(太ももの骨)の外側に当たることで痛みが出る障害です。
特徴的な症状はこんな感じです。
- 走り出してしばらくすると(20〜30分前後)、膝の外側がズキズキ痛む
- 下り坂や階段の降り動作で痛みが出やすい
- 膝の外側(大腿骨外側の出っ張り部分)を手で押すと痛い
- 安静にすると楽になるが、走り始めるとまた同じ場所が痛む
一般ランナーの7〜14%が経験するといわれ、特に女性ランナーは男性より発症リスクが1.3〜1.7倍ほど高い傾向があります。初心者ランナーや走行距離を急に増やした方に起きやすいのも特徴です。
院内でよくお聞きするのは「ハーフマラソンに向けて距離を伸ばしたら急に膝が痛くなった」「産後の体づくりで走り始めたばかりなのに膝が痛い」という声です。
なぜ走ると膝の外側が痛くなるのか——腸脛靭帯と「圧迫」の仕組み
腸脛靭帯は、骨盤の外側(腸骨稜)から太ももの外側を縦に走り、脛骨(すねの骨)の外側(ガーディー結節)まで伸びる長い組織です。
大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)とお尻の大臀筋(だいでんきん)とつながっており、股関節の安定や骨盤の水平維持に重要な役割を担っています。
かつては「腸脛靭帯が大腿骨の外側と擦れて炎症が起きる」と考えられてきました。でも最新のスポーツ医学では、より正確な仕組みがわかっています。
腸脛靭帯と大腿骨外側顆(だいたいこつがいそくか)の間には血管と神経が豊富な脂肪組織があり、膝が約30°曲がった瞬間(着地の瞬間)にこの脂肪組織が圧迫されることが痛みの主な原因とされています。

走るたびに膝が曲がるたびに、この30°の角度で圧迫が繰り返される——それが「走っているとだんだん痛くなる」という経過につながります。
下り坂でより痛みが出やすいのは、着地時の膝屈曲が大きくなり、この圧迫が強まるためです。
来院されるランナーのママさんから「腸脛靭帯のストレッチを続けているのになかなか治らない」という声もよく聞きます。腸脛靭帯は伸縮性の低い組織なので、ストレッチだけでは圧迫の根本原因には届きにくいのです。
ランナー膝になりやすい体の特徴——フォームと筋力のチェックポイント
なぜ同じ距離を走っても痛くなる人とならない人がいるのでしょうか。
ランナー膝には、なりやすい体の特徴とフォームのクセがあります。
① 股関節外転筋(中臀筋)の弱さ
ランナー膝の最大の原因として知られているのが、股関節外転筋——特にお尻の横についている中臀筋(ちゅうでんきん)の弱さです。
中臀筋が弱いと、片脚着地のたびに骨盤が外側に傾き(骨盤ドロップ)、股関節が内側に入りやすくなります。この動きが腸脛靭帯への圧迫ストレスを大きく増やします。
産後のママさんは骨盤周りの筋肉が弱くなりやすく、ランニングを再開したときにこの影響が出やすいです。「産後に走り始めたら膝が痛くなった」という相談が多いのは、この理由が関係しています。

② 狭いステップ幅・クロスオーバー走法
着地のたびに足が体の中心線より内側に入るフォーム(クロスオーバー走法)では、股関節がさらに内側に入りやすくなります。
ステップ幅を骨盤幅程度に広めにして着地するだけで、腸脛靭帯へのひずみが軽減されることがわかっています。
ストライド(1歩の幅)を少し小さくしてケイデンス(1分あたりの歩数)を5〜10%上げると、一歩あたりの着地衝撃が減り、腸脛靭帯への負担が下がります。
③ 走行距離の急増
先週まで5kmだったのに今週から10kmを走り始めた、大会に向けて急に距離を伸ばした——こういった状況でランナー膝は起きやすいです。
腸脛靭帯は急な負荷増加に対応しにくい組織です。距離を増やす場合は、1週間の走行距離の増加を前週比10%以内に抑えることが再発予防の基本とされています。
今日からできるセルフケア——股関節外転筋の強化が鍵
ランナー膝のセルフケアで最も重要なのが、股関節外転筋(中臀筋)の強化です。
「腸脛靭帯が固い→ストレッチ」というアプローチだけでは根本的な改善につながりにくいことがわかっています。大切なのは圧迫の原因となっている股関節の動き(骨盤ドロップ・股関節内転)を改善することです。
痛みが強い時期は無理をせず、症状が落ち着いてきたら以下のセルフケアを取り入れていきましょう。
① サイドライイング・ヒップアブダクション(横向きの脚上げ)
中臀筋を直接鍛える基本の動作です。道具なし・床の上で毎日できます。

やり方
- 横向きに寝て、両膝をまっすぐ伸ばします
- 上側の足のつま先を床と平行にして、天井方向へゆっくり持ち上げます(30〜45°程度)
- 2〜3秒キープしてからゆっくり下ろします
- 15回×2〜3セット。左右行います
目安:1日1回。毎日続けることで効果が出てきます。
足先が上向きにならないよう(内旋・外旋しないよう)注意して行うのがポイントです。体幹が前後にブレないよう、体をまっすぐに保ちましょう。
② モンスターウォーク(バンドウォーク)
中臀筋に加えて股関節の外旋筋群も同時に鍛えられる、より実践的な動作です。

やり方
- 膝の少し上か足首にゴムバンド(セラバンド・トレーニングチューブ)を巻きます(なければなしでもOK)
- 膝を軽く曲げて、浅いスクワットの姿勢になります
- バンドの抵抗に抗いながら、横方向に20〜30歩ゆっくり歩きます
- 左右交互に行います。2〜3セット
目安:1日1回。ランニング前の準備運動として行うのが特に効果的です。
③ ランニング中のフォームの意識
セルフケアは筋力強化だけでなく、走り方の見直しもセットで行うことが大切です。
- ピッチを少し上げて小刻みに走ると、一歩の着地衝撃が減ります
- 足を体の中心線より少し広めに(骨盤幅程度)着地するよう意識します
- 下り坂は歩幅を小さくしてゆっくり降りましょう
いつ整骨院・医療機関に相談すべきか
「走ったら膝の外側だけ痛くなる」程度の症状であれば、まずは走行距離を少し落として上のセルフケアから始めてみてください。
ただし、以下のサインが出ているときは早めのご相談をおすすめします。
- 安静にしていても膝の外側が痛む
- 歩行時にも膝の外側に痛みや違和感がある
- 2〜3週間セルフケアを続けても改善しない、または悪化している
- 膝に腫れや熱感がある
- 走行距離を減らしても症状が続く
「走るたびに外側が痛い」という経過が2〜3週間以上続いているなら、適切なアプローチが必要なサインです。
自己流のストレッチや安静だけでは根本解決につながらないケースも多く、特にフォームや股関節の筋力バランスに問題がある場合は専門的な評価が改善を早めます。
たなか整骨院鍼灸院では、ランニング動作の評価や股関節・膝の機能評価をもとに、再発しないためのケアをサポートしています。茅野・原村・富士見・諏訪エリアで「また気持ちよく走れるようになりたい」というご相談は、お気軽にどうぞ。
走ることを「あきらめない」ために——ランナー膝との向き合い方
育児をしながら走り続けることは、体を動かす喜びであり、自分だけの時間でもあると思います。
ランナー膝は、「頑張って走ったからこそ起きる障害」でもあります。でも正しく向き合えば、走ることをあきらめずに改善を目指せる障害です。
大切なのは、痛みを「我慢すること」でも「完全に休むこと」でもなく、「体のサインを読みながら、正しいケアで走り続けること」です。
毎日のセルフケアとフォームの意識が、膝の状態を変えていきます。
何か気になることがあれば、いつでもたなか整骨院鍼灸院にご相談ください。

