「脚の付け根が痛い」と子どもが言った。
サッカーの練習中、走り方がなんとなくおかしい。試合後に股関節を気にしているようだけど、「成長痛かな」と思ってそのままにしてしまった——。
そういう経験、ありませんか。小学生サッカーコーチとして、またFCアビエス専属トレーナーとして子どもたちの体を見てきた立場から、正直に言わせてください。「股関節の痛み」だけは、成長痛として放置してはいけない部位のひとつです。
成長期の股関節には、早期に適切な対応をしないと後遺症が残るリスクのある疾患がいくつかあります。この記事では、成長痛との見分け方・受診の目安・親として観察すべきポイントを、わかりやすくまとめました。
「子どもの股関節の痛みが心配」というパパ・ママに、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
「成長痛」と「股関節の病気」はまったく別物——まず知っておきたい違い
「成長痛」という言葉は広く使われていますが、実は医学的に正確な意味は限られています。
一般的に「成長痛」と呼ばれるのは、主に3〜12歳の子どもが夕方から夜にかけて、膝の周辺や下肢全体が痛むものです。特定の部位の異常があるわけではなく、日中に走り回った疲れや筋肉の緊張が夜に出てくると考えられています。
重要なのは、成長痛は「膝周りが多く、股関節(脚の付け根)が主な発症部位ではない」という点です。
股関節が繰り返し痛む・歩き方が変わってきた・運動後に特に気にしている——こういった症状は、成長痛とは別に考えるべきです。
院ではよく「成長痛だと思ってずっと様子を見ていた」というお子さんが来院されます。股関節の痛みには早期発見が特に重要な疾患が含まれているため、気になったときは早めに確認することをすすめています。
子どもの股関節に起きやすい3つのトラブル
成長期の股関節に起きやすいトラブルのうち、特に見逃されやすいものを3つ紹介します。

① ペルテス病(大腿骨頭壊死症)——4〜8歳の男の子に多い
ペルテス病は、大腿骨の頭部(太ももの骨の上端部分)への血流が途絶え、骨が壊死してしまう疾患です。
主に4〜8歳の男の子に多く、はっきりした外傷(けが)がなく発症するのが特徴です。
初期には痛みが軽く、「歩き方がなんとなくおかしい」「疲れやすい」程度で気づかれないことがあります。本人も「そんなに痛くない」と言うため、親も見過ごしてしまいやすいです。
ペルテス病は早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。「痛みは軽いけど歩き方が変」という状態が続くときは、放置しないようにしてください。
院でも「しばらく様子を見ていたら、整形外科でペルテスと言われた」というケースを見たことがあります。小学校低学年の男の子で股関節の痛みが続く場合は、特に注意が必要です。
② 大腿骨頭すべり症——思春期・体格の大きな男子に多い
大腿骨頭すべり症は、大腿骨の頭部と骨幹部をつなぐ「成長軟骨板(骨端線)」がずれる疾患です。
主に10〜15歳、体格のよい男子に多く見られます(ホルモン異常がある場合は女子にも起きることがあります)。
典型的な症状は、股関節・鼠径部・膝の痛み、および歩き方の変化(患側の足が外を向く)です。急に痛みが強くなるケースもあれば、じわじわと悪化するケースもあります。
「膝が痛い」と言っているのに実は股関節が原因だった——という例も少なくありません。
大腿骨頭すべり症は進行性であり、放置すると骨頭の大きなずれにつながることがあります。外科的処置が必要なケースもあるため、早期受診が非常に重要です。
③ 股関節唇損傷——サッカー・体操・陸上など多方向スポーツに多い
股関節の周りには「股関節唇(こかんせつしん)」というリング状の軟骨があります。大腿骨頭を受け皿に安定させる役割を持つ部分です。
激しい方向転換・蹴り動作・屈伸を繰り返すスポーツ(サッカー・体操・陸上・バレーなど)で損傷しやすく、「股関節を動かしたときの引っかかり感」「深く曲げたときの鋭い痛み」が特徴的な症状です。
一般的なレントゲンには映らないことが多く、「異常なし」と言われてもスポーツ後に痛みが続く場合は、股関節唇の損傷が疑われることがあります。
院でもサッカー少年・体操をする女の子で「蹴ったときにグッとした感覚がある」という子を何人か診たことがあります。痛みの場所が「股関節の前側・奥の方」にある場合は特に注意してみてください。
親が観察すべきポイント——「様子を見る」か「受診する」かの目安

子どもの痛みを見ていると「大げさかな」「もう少し様子を見ようかな」と思うことはよくあります。
でも、股関節に関しては、以下のサインが出たら早めに受診することをすすめます。
受診すべきサイン(一つでも当てはまれば早めに確認を)
- 脚の付け根(鼠径部)・お尻の奥・太もも内側に痛みがある
- 痛みが2週間以上続いている、または繰り返している
- 歩き方がおかしくなってきた(かばっている・足が外を向いている)
- 「深く曲げると痛い」「正座ができない」「しゃがめない」がある
- スポーツ後に必ず痛みが出る、または痛みで練習を休む日がある
- 4〜8歳の男の子で、理由なく歩き方が変化してきた
- 体重が増えている10代男子で、股関節や膝の痛みが続いている
「痛みが軽いから大丈夫」とは限りません。成長期の股関節疾患の中には、初期に痛みが少ないまま進行するものがあります。
家でできる簡単な観察チェック
仰向けに寝た状態で膝を曲げ、そのまま外に開いてみてください(がに股になるようなイメージ)。左右差がある・開きにくい・痛みや引っかかりがある場合は、整骨院への相談をすすめます。

やり方
- 仰向けに寝て、両膝を立てます(足の裏を床につけた状態)
- 両膝をゆっくり外に開いていきます(蝶のポーズのように)
- 左右の開きの違い・痛み・詰まった感じを確認します
目安:左右差がある・開いたときに股関節の奥が痛む・引っかかる感じがある場合は、一度整骨院に相談するタイミングです。
このチェックをお子さんと一緒にやってみるだけでも、「うちの子の股関節、ちょっとおかしいかも」という気づきになることがあります。
整骨院で相談できること——評価と体のサポート
「整骨院は骨折やねん挫のところでしょ」と思っていませんか。
実は、整骨院では子どもの股関節の動きを評価し、可動域・筋力・左右差などを確認することができます。「なんか気になる」という段階から相談していただける場所です。
たなか整骨院鍼灸院では、柔道整復師・鍼灸師に加えてNSCA-CSCS(ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)の資格を持つ院長が、スポーツを頑張る子どもたちの体を診ています。
整形外科での画像診断(レントゲン・MRI)が必要と判断した場合は、受診をすすめることもあります。整骨院と整形外科を適切に組み合わせることが、子どもの体を守る近道になることがあります。
「うちの子、歩き方がなんかおかしい気がして」「最近スポーツ後に股関節を気にしているみたいで」——そういった「なんとなく心配」の段階でお気軽にご相談ください。
まとめ|「成長痛かな」で終わらせない、股関節への目線を
成長期の股関節痛は、本当に成長痛であることもあれば、ペルテス病・大腿骨頭すべり症・股関節唇損傷など、早めの対応が必要な疾患であることもあります。
大切なのは「痛みの場所」「症状の続き方」「歩き方の変化」をよく観察し、気になったら早めに専門家に確認することです。
子どもは自分の痛みをうまく説明できないことが多いです。「大丈夫?」の声かけと、歩き方・動き方への観察が、早期発見につながります。
原村・茅野・富士見・諏訪エリアで子どものスポーツや体のことを心配しているパパ・ママは、たなか整骨院鍼灸院にお気軽にご相談ください。

